【レポート】日本における新型コロナウイルス感染予防対策について ~ オフィシャルカメラマン山田一仁氏が見た世界の現状 ~
FC岐阜オフィシャルカメラマンの山田一仁氏が3月初旬から下旬にかけて海外取材中、新型コロナウイルス感染拡大が急激に進んだ南米、欧州を自らの目で見て感じたことを踏まえ、日本での新型コロナウイルス感染予防で今からでも実施できる対策について提言をいただきました。
海外現地レポートと併せて、皆さんがすぐに実施できる予防対策をご紹介していきます。
《山田一仁氏レポート》
(まずはじめに)
武漢から政府チャーター便で帰国された方々、またクルーズ船の乗客の方々の隔離観察された期間は原則2週間。これは感染しても最大で2週間は症状が出ない可能性があるからです。私は帰国時にPCR検査を受け陰性と判定されました。しかし、陰性の判定結果が出ても2週間以内に感染していた場合、後から症状が出る可能性を考慮し、他の方々に決してうつさないという覚悟で自宅にも戻らず、事務所にて自らの自主隔離2週間を実行。何の異常もなかったことから4月13日(月)、通常の生活に戻りました。
今回の海外取材は3月7日(土)に日本を関西国際空港から出発し、3月29日(日)に関西国際空港着で帰国。
その間、ブラジル(マリンガ、サンパウロ、リオデジャネイロ)に約2週間滞在、イギリス(ロンドン、マンチェスター、リバプール)に5日間滞在し、新型コロナウイルスの感染拡大が急激に進み市民生活が急変する実情を目のあたりにして来ましたので、現地の様子を伝えつつ、私たちに出来る事をご紹介します。
まず訪れたのは南米のブラジル。本来の目的は、元日本代表そして元FC岐阜DF三都主アレサンドロ氏が主宰する育成チームに、FC岐阜サポーターの皆さんをはじめ、母校千葉大学サッカー部OB、岐阜北高校、岐阜高校サッカー部OBの皆さんから寄付して頂いたスパイクを届けること。もう一つは強豪ボタフォゴに移籍した元日本代表、本田圭佑選手を取材することでした。ブラジル滞在中に新型コロナウイルス感染拡大で事態が大きく変わったため、新型コロナウイルス感染問題の取材に切り替えました。
ブラジルを離れ次に訪れたのはイギリス。既に学校は休校となっており、日常生活に必要とされる薬局、スーパー、銀行等以外の商業施設は閉店。パブやレストランも閉店(ただし、デリバリーやテイクアウェイは可能)。スポーツも個人や家族などの数人レベルでは奨励されているものの(運動しないと免疫力が低下するため)、大勢での運動は誰もしていませんでした。
(左)3/21 寄付スパイクを届けたお礼にFC岐阜時代の練習着を受けとりました。
(右)3/15 ボタフォゴに移籍した本田圭佑選手がマスクをつけて入場。チームとして「新型コロナウイルスとみんなで戦おう」と宣言。
<現地の状況>
ブラジル リオデジャネイロ
(左)3/23 有名なコパカバーナビーチ。普段、ビーチサッカーを楽しむ人で賑やかな浜辺には誰もいません。
(右)3/23 ビーチ脇のトレーニング器具で運動する2人。この後、巡回員から互いの距離が近いと注意され中止。
イギリス ロンドン、マンチェスター
(左)3/26 マンチェスターにあるサッカーコートが20面以上ある広大な公園です。いつもサッカーを楽しむ人で
賑わってますが、外出自粛のため人が誰もいません。
(右)3/25 ロンドン中心部の中華街、チャイナタウン。奥に見えるのは有名なミュージカルの劇場街、その周りも外出自粛でゴーストタウン化しています。
(左)3/27 ロンドンのハイド・パーク。個人や家族での運動は 奨励されていたので、ジョギング・散歩する人達。
(右)3/25 ロンドン西部の公園。一人でエクササイズする女性。
【予防対策ポイント①】免疫力向上のために運動しよう!
海外でも免疫力を保持するため、高めるためにビーチや公園などで運動をする人を見かけました。
免疫力を保持すること、高めることが感染予防対策につながります。
外出自粛で家にずっといると身体を動かす機会が減って運動不足になりがちです。
こんな時は家でできるトレーニングや、ボールを使った運動をして身体をよく動かし、免疫力を保持すること、高めることを心がけましょう!
★トレーニング動画(参考)
【FC岐阜】FITNESS TRAINING イヨハ 理 ヘンリー選手
【FC岐阜】FITNESS TRAINING 岡本 享也選手
<Social Distance 社会的距離>
3/27 ロンドンのスーパーASDA。買占め防止ではなく店内での混雑を避けるため、人と人の距離が2mになるよう入場制限しています。待っている人たちも前後に2m空けるように並んでいます。品物は豊富にあります。
(左)3/27 ロンドン・ヒースロー空港地下鉄駅では、『他の人と最低2m保ってください』と掲示された看板が出ていました。
(右)3/28 経由地オランダ、アムステルダムのスキポール空港。飛沫感染を防ぐため、係員と客の間にビニールの案内板カーテンを引いています。
(左)3/24 ポルトガル、リスボンの空港案内所。客がカウンターから2m離れるようにテープがカウンターと平行に張ってあります。
(右)3/20 ブラジル、マリンガのスーパーマーケット。薬局とスーパー以外の閉店が決まった3/20(金)からスーパーのレジ係は感染予防のため手袋を着用。
注:日本とは異なり、ブラジルや欧州ではマスク着用の文化がないため、スーパーでは手袋着用が先に実施されました。
3/26 マンチェスターのセルフサービス・ガソリンスタンド。『給油する際に、右側に置いてある使い捨ての手袋をご使用下さい』との注意書き。クルーズ船の感染拡大問題では、ブッフェレストランで使いまわしされていたトングが問題になりました。しかし、それ以外にも不特定多数が接触しているものが日常生活に存在している事に改めて気付かされました。
(左)3/24 ロンドン・ヒースロー空港のアルコール消毒液。不特定多数の人がスイッチに触って感染しないように手を近づけるだけでセンサーによって噴射される仕組み。
(右)4/10 日本のマンションや雑居ビルのエレベーター操作盤。ここも不特定多数の人が触れます。各自アイデアを出して素手で触れないように気をつけましょう。
アイデア案:エレベーター操作盤を触る指を保護するテープの使い方
【予防対策ポイント②】接触を極力減らし、人との距離を保ちましょう!
日本のコンビニやスーパーでもレジに透明なビニールシートを設けて、客と従業員の飛沫感染を避けるための対応が見られるようになりました。
ただし、皆さんに一番気をつけて頂きたいのは、スーパーの店内で密集状態が出来てしまっている日本の現状です。上記のイギリス、ロンドンの写真に見られるように、店内の混雑を避けるために入場制限する等の対策を進めるとよいでしょう。知人、友人がスーパー等で働いている人がいましたら、注意喚起してあげてください。
『緊急事態宣言』で外出自粛が必要とされている理由を今一度思いだしてください。繁華街に行かなくなってもスーパー等の店内で同じ密集状態が起きてしまっては、『緊急事態宣言』の意味が全くなくなってしまうからです。
不要不急の外出を控えることで、感染のおそれがある場所や人との接触を避けましょう。仕事や食料品購入等どうしても必要な外出をする際は、なるべく人と人との距離を保つ事を意識して下さい。
特に通勤で公共交通機関を利用しなければならない方は、時差通勤や空いている車両を利用するなどできる限りの対策をしましょう。
<手洗い・うがいについて>
海外でも、「手洗い」の重要性が徹底されています。これに「うがい」も加えて外出から帰宅した際は、必ず「手洗い」と「うがい」をしてください。
【予防対策ポイント③】手洗いうがいの徹底!
手洗い(石鹸を使って20秒以上)うがいは重要です。日本でも徹底して行われています。
日常生活においては、買い物時にレジでの現金支払い、クレジットカード支払い、自動販売機、エレベーター操作盤など身近なところで間接的に接触感染してしまう可能性があります。
引き続き手洗いうがいの徹底を心がけて、接触感染しないよう常に清潔に保つよう意識しましょう!
★FC岐阜手洗い動画(参考)
【FC岐阜】FC岐阜がジャニーズ手洗い動画(Wash Your Hands)をやってみた
【FC岐阜】竹田 忠嗣選手、チャントを歌いながら手洗いやってみた!
(最後に)
日本では、武漢からのチャーター便による帰国、クルーズ船での新型コロナウイルスの感染拡大が問題になっていたのは2月。その頃、欧州では「アジア諸国では大変なことになっている」と『対岸の火事』と認識。「新型コロナウイルスは欧州まではやってこない」と油断してしまったことが3月の感染拡大に繋がり、現在の都市封鎖(ロックダウン)に至っています。一方、欧州の新型コロナウイルス感染拡大が問題になった3月、今度は日本で、日本人が油断してしまったことで現在の状況を招いてしまっています。
日本は欧州よりも1か月早く新型コロナウイルス感染問題が始まったにも関わらず、防止対策は欧州と比較して1か月遅れとなっています。今、一人ひとりが出来る事を実行しましょう。
現在、都市封鎖から既に1か月が経過しているスペイン、バルセロナ在住の友人家族の長女、ジュリアさん
(バルセロナ大学薬学部4年生。現在、薬局で薬剤師助手として勤務)が、現在のバルセロナでの生活を説明している一文を紹介します。
注:『月刊Hanada』(4/26発売予定、飛鳥新社発行)からの一部抜粋)
“毎日午後8時になると、窓やバルコニーから聞こえてくる何百何千の、医療従事者の頼もしい活躍に対する感謝の拍手で、私の心臓の鼓動がはじけそうになります。
毎晩、この拍手が、わたしは独りではないのだと思いださせてくれます。私たち、一人ひとりが何とか普通にしていることの重要性を考えさせられます。「普通」とは何か、働き、勉強し、食事を作り、掃除をし、そして、生き抜くために何をするべきなのか、、、
私たちが健康でいれば、医者や看護師たちが最も助けを必要としている人たちの治療に専念できるのです。
毎朝、太陽の光を浴びながら自宅のテラスでコーヒーを飲んでいます。わたしは、見渡せる範囲で同じように太陽の光を楽しんでいる隣人たちに手を振っています。以前はそんなことしたことがありませんでした。今まで、誰が隣人なのか知りませんでした、気にもかけませんでした。
これは、隔離が生んでくれた、普段は感じない連帯感なのでしょうか。
薬学部の学生たちは、最も弱い立場の人たちに処方箋を届けています。
隣人たちは、近所の老人たちに日用品を届けるボランティアをしています。
無料のオンライン教室がどんどん増えています。
レストランが無料で食料を病院に届けています。
自宅で手製のマスクや簡易医療用防護服を縫っている人もいます。
引退した医師や看護師が遠く離れた場所から病院のスタッフとして組織の助けになればと協力しています。
各自が身勝手な行動を慎み、お互いに感染させないようにみんなが一致団結して行動する事が必要です。”
世界規模で感染拡大している新型コロナウイルスですが、今回の海外取材を通じて、収束に向けて一人ひとりが感染予防対策の徹底に努めることが大切であると改めて感じました。
ご紹介した感染予防対策に加えて、咳エチケットやバランスのとれた食事、十分な睡眠、規則正しい生活を心がけていきましょう。
Jリーグ再開まで、皆さんで予防意識を高め、身勝手な行動を慎み、一致団結して感染者を出さないように頑張りましょう。
そして、医療従事者や皆さんの日常生活を維持するため働いているスーパー等の食料品販売業者、銀行や郵便局、宅配業者等の皆さん、そして最後にFC岐阜のスポンサー企業の皆様に感謝の気持ちを忘れないで、J3リーグ開幕の折には、お互いが笑顔でお会いできるように上記の予防対策に全力を!
※1 山田氏の海外取材の詳細についてはweb『日刊ゲンダイDIGITAL』コラムにてご覧いただけます。
※2 山田氏のイギリス新型コロナウイルス事情のレポートが4/26発売『月刊Hanada』(飛鳥新社発行)に掲載されます。