Ｊ３第31節Ｊ２昇格プレーオフ圏内６位の福島ユナイテッドＦＣとの対決に敗れた時点では、その福島と勝点10差をつけられていたＦＣ岐阜。しかし第32節ＡＣ長野パルセイロ戦からの３連勝で、第34節終了時点で14位の岐阜と依然６位の福島との勝点差は４にまで縮まった。熾烈な大混戦。ここから先は１節ごとに順位が入れ替わっていく事態になりそうだ。

岐阜にとっての好材料は、敗れた第31節も含めてここ５試合の内容が良いこと。そしてホームである岐阜メモリアルセンター長良川競技場では直近の３試合すべてに勝利を収めているということだ。前節は２位ＦＣ今治に危険な場面を作られ１失点を喫しながらも、相手を凌駕する最高のフットボールで４得点。この高い質を継続し、今後も続く上位陣との闘いを制していきたいところだ。

今節第35節の相手は５位のＦＣ大阪。勝てば３差に縮まると考えてもこの試合の持つ意味は大きい。もちろん、相手がどうであれ勝つしかない状況ではあり、そうした緊張感や心理的なプレッシャーをいかに楽しめるかも勝敗に影響してくるだろう。今治戦の内容を振り返れば、あのプレーができている限りは負けることはなく、Ｊ３ならどこが相手でも勝てる強さがあった。平常心で臨むことは難しいにしても、怖気づく必要はない。

ＦＣ大阪は第29節で福島に敗れたあと３勝１分と好調だったが、第34節ではテゲバジャーロ宮崎に無得点で敗れ、黄色信号が灯った状態。連敗を止めて勢いを取り戻そうと、積極的に向かってくるだろう。ここで重要なのはやはり守備。守から攻への切り替えに迫力があり、ゴールキーパーもディフェンダーも躊躇せず長いボールを蹴ってタテに速く攻めてくる、そんなＦＣ大阪の勢いに呑まれないよう、しっかりと跳ね返し、あるいはボールを回収していけるか。

岐阜が得意とする前からのプレスを回避し、蹴ってくるならば、その場面が最終ラインにとっての踏ん張りどころ。野澤陸など、高さと強さを備えた防波堤の活躍が見ものだ。そして奪ったボールを、相手のプレスに嵌まらず、今治戦のように動かしていければ今節も得点を期待できる。欲をかきすぎず、あくまで謙虚に守備から入り、１点を狙いに行く。その先に『ＨＹＰＥＲ ＣＨＡＮＴ』を歌う、試合後の光景がついてくる。

（Text by 後藤勝）