前節はアウェイの花園でＦＣ大阪を相手に敗戦寸前となったＦＣ岐阜だが、終了間際の後半43分に元日本代表のベテラン田中順也の一撃で追いつき、引き分け。順位こそ落としたものの２位鹿児島ユナイテッドＦＣとの勝点差を１縮め、昇格戦線にかろうじて生き残った。

今節、ホーム長良川に帰ってきた岐阜がナイトゲームで迎え撃つ相手は奈良クラブ。前回対戦のＪ３第17節は７月９日におこなわれ、曇天のもと湿度90パーセントという環境にも苦しみながら0-0で推移したが90＋５分、浅川隼人に決勝ゴールを許して痛恨の黒星を喫した。同じ勝点44で９位につけるライバルでもあり、なんとしても倒さなければいけない相手だ。

以前と変わらぬ４－１－２－３でボールを支配しようとする奈良に対し、ボールを持たれるのではなく、ボールを持たせているという状態にしていくことが岐阜にとっては理想的。岐阜が得点の手段として志向する、奪って攻める得意のパターンに持ち込めれば勝機は出てくる。即、切り替えて純粋なカウンターで攻めるにしても、ボールを保持しておいて相手を引きつけてから速攻でウラを衝いていくにしても、よく相手の状況を見て判断することが大切だ。

長良川での前回の試合は第30節アスルクラロ沼津戦。後半、厳しい内容となったにも関わらず勝利を得られたのはチームを後押しするホームの空気感もあってのことだろう。あと７試合、常に万歳四唱がなければ先が見えてこない状況だ。前節、救世主となった田中は「全勝しないといけない」と背水の陣を敷き、覚悟を決めているが、こうした修羅場をくぐってきたベテランたちの力を引き出すためにもスタンドから高い熱量でサポートしていきたい。

（text by後藤勝）