天皇杯予選兼岐阜県大会決勝、Ｊ３第10節、そして天皇杯１回戦と、公式戦３連勝中のＦＣ岐阜。今節はリーグ戦での連勝を記録して順位を上げていくべく、是が非でも勝ちたい一戦となる。

しかしそうは問屋が卸さない。相手は首位のＡＣ長野パルセイロと同じ勝点20で２位と好調のカターレ富山。２０２２シーズン終盤、石﨑信弘前監督から指揮官の座を受け継いだ小田切道治監督のもと、今シーズンは安定した試合を重ねている。

どちらかと言えば基本に忠実なサッカーであり、一瞬の隙が生じるまで勤勉にプレーを続けてゴールを奪う試合運びのチームだけに、対戦相手が戦術なり身体能力なり技術なりで上回っていたとしてもそれで勝てるという保証がない。非常に嫌なチームだと言えるだろう。

勝利の一因となっているのは前線に入る高橋駿太。抜群の嗅覚で相手の守備が手薄なポジションをとり、ボールが来れば躊躇せずにシュート。今シーズンは６得点を挙げているが、そのうち４得点は直近のリーグ戦４試合であり、第7節のＦＣ今治戦では２得点をマークしている。１本のパスを得点に結びつける好調ぶりは富山加入以来５シーズン目にして最高のものかもしれない

戦術面に関しては岐阜が上回る可能性があるが、前述したとおり、守備組織の穴を衝いてくる富山を相手にした場合にはその優位性が失われる瞬間がある。富山対策を刷り込むだけでなく、90分間に渡り集中力を維持、無失点または最少失点で試合を終えようと努力し続けることが求められる。そして０－０または１－１を最低限守るべきスコアとして、そこに１得点を加えるべく積極的に前進していきたい。リーグ戦２連勝で歌う『HYPER CHANT』は尊い。

（text by後藤勝）